【アパート経営】経費計上できるものとできないものを解説
アパート経営の利益に対しては、税金がかかります。利益を把握するためにも経費に計上できるものと、できないものは把握しておく必要があります。
この記事では、アパート経営に関する経費について詳しく解説します。
経費計上できるもの
アパート経営において経費計上できるものは、意外にもたくさんあります。あらかじめ把握しておくことで、経費の計上漏れを防ぐことができます。
不動産関連の税金
以下のように、不動産にかかる税金は経費として計上できます。
- 固定資産税
- 契約書に貼る印紙税
- 登記の際に支払う登録免許税
また、建物取得時の消費税や不動産取得税、事業所税や自動車税も対象の範囲です。一方、所得税や法人税は経費に計上できません。
減価償却費
経費のなかで最も金額の大きいものが、減価償却費です。アパート本体だけでなく、設備に関しての減価償却費も経費として認められています。
購入時の金額を、国が定めた法定耐用年数で割って毎年経費に計上していきます。たとえば、5,000万円で取得した木造アパートは、約230万円を22年間減価償却費として計上できます。
建物は高額となるため、減価償却費も大きい金額となります。
火災・地震保険料
火災保険、地震保険のほかに、施設賠償責任保険も経費計上できます。火災保険は最長5年で契約ができます。この場合は、1年単位で割って毎年経費にします。
地代・家賃
アパート経営で使用する、事務所の家賃も経費計上ができます。多くのオーナーは自宅を事務所にしていますが、その場合も家賃を按分して経費計上ができます。
借地上のアパートの場合は、地主に払う地代(土地の賃料)も経費の対象です。
仲介手数料
物件購入時に不動産会社へ支払う、仲介手数料は経費計上の対象です。アパート経営をスタートしたタイミングでかかる費用といえます。初年度に必ず経費計上するようにしましょう。
アパートローン関連費用
アパートローンを契約する際、金融機関に支払う費用は経費計上が可能です。事務取扱手数料や、保証会社へ支払う保証料が該当します。しかし、元本の返済分は経費計上できません。
なお、保証料は借入金額の2%程度が一般的です。
借入金の利息
アパート取得用ローンの利息も経費計上の対象です。気をつけたいのが、建物が建ったあとに支払った利息のみが対象となることです。
先に土地購入でローンを組んだ際、建物が建つまでに負担した分は経費計上ができません。
修繕費用
アパート運営で切っても切り離せないのが修繕費用です。以下のようなものが対象となります。
- 退去時のクリーニング代
- 破損や汚損の修繕
- クーラーやトイレなどの備え付け設備の修繕費用
なお、修繕にあたるものすべてが計上できるわけではありません。不動産の価値を高めるような工事は、資本的支出に該当します。たとえば、耐震補強や屋根の防水加工などは資本的支出にあたり、修繕費用ではなく減価償却費として計上する必要が出てきます。
水道・光熱費
エントランス部分や廊下の電気代、共有部分を掃除する際の水道代なども経費計上の対象です。エレベーターの電気代も計上可能です。
管理費
管理費といえば、管理会社への委託料をイメージするかもしれません。
それだけでなく管理会社を入れずに、自身で管理した場合にかかった費用も含めることができます。ほかにも、エントランスやエレベーターなどの共有部分の点検や、清掃費用も対象です。
広告宣伝費
空室を埋めるための広告宣伝費も対象です。
新たな入居者を募るためのホームページ掲載料、不動産会社サイトへの掲載費用、パンフレットやチラシ作成費用も当てはまります。空室がある旨を知らせるのぼりや旗、看板なども対象です。
通信費
アパート経営をするうえでかかる通信費は、主に不動産会社、管理会社とのやりとりにかかる電話、郵送費などが多いでしょう。また、金融機関とのやりとりも想定されます。
インターネット通信も経費計上の対象です。なかには、プライベート用のスマホで電話をするなど、プライベートとアパート経営で線引きが不十分だと税務署で認めてくれないことがあります。しっかりと説明ができるよう把握しておく必要があります。
税理士・弁護士・司法書士への報酬
アパート経営は複雑な税務処理がからむことがあります。
また、入居者や近隣トラブルで専門家に相談するといったケースが想定されます。公的な文書の作成や申請を依頼することもあるでしょう。
税理士や弁護士、司法書士や行政書士へ依頼することでスムーズに話を進められます。専門家への報酬は、経費計上が可能な項目のひとつです。
あくまでも、アパート経営において発生した相談のみが対象となるので注意しましょう。
立退料
建て替え時には、入居者に退去依頼することもあります。
立退料はオーナーが負担する、いわば入居者に対する補償金です。退去者に支払う立退料も経費計上できます。
給与
家族にアパート経営の一部を手伝ってもらうパターンもあります。
事業者が青色申告をしていれば、家族に支払う給料は経費計上が認められています。すべての給与が認められているわけではありません。保有アパートが、5棟10室以上のみが対象です。これは5棟10室以上が事業的規模として認められ、5棟10室未満は事業的規模して認められないためです。事業的規模でなければ、家族に支払う給料は経費計上できません。
新聞・書籍代
アパート経営を取り巻く環境は常に変化しています。
最新情報やノウハウを手に入れるための新聞や本に関する費用も経費として落とせます。
接待交際費
不動産会社や管理会社、顧問税理士や同業者など、アパート経営と人付き合いは切り離すことができません。
交友を深めたり、新たな人脈を作るための接待贈答費も経費として認められています。プライベートの飲食やギフトは経費計上できません。
事務用品費
帳簿やペンなどの文房具も、もちろん経費計上が可能です。アパート経営に関する事務作業は意外と多いです。
一度の買い物は少額でも、積もればそれなりの金額になります。領収証を必ずもらうようにしましょう。
消耗品
以下に該当するものは消耗品として扱えます。
- 取得価額が10万円未満のもの
- 使用可能期間が1年未満のもの
消耗品は、10万円未満という条件付きで経費計上が認められています。カメラやパソコン、プリンターなどが該当します。
10万円を超えるものは、消耗品ではなく減価償却費としての計上となります。
交通費
保有アパートに行く際の交通費も計上対象です。ガソリン代、駐車場代などを含めることができます。
保有物件が自宅から近いとは限りません。遠隔地の場合、新幹線や飛行機といった公共交通機関を使うこともあるでしょう。オーナーだけでなく、業務をともに行う人の分も計上できます。
経費計上できないもの
アパート経営にからむものでも、一部は経費計上が認められていないものがあります。
ローンの元本部分
アパートローンにかかる利息は計上可能ですが、ローン元本の経費計上は認められていません。
借りたお金は会計上、損益とみなさないため、ローン元本は経費になりません。
不動産に関係ない税金
不動産に関係のない、所得税や法人税は計上ができません。
そもそも税金は経費計上ができませんが、不動産関連の税金だけが例外的に認められていると考えておきましょう。
アパート経営に関係ないもの
プライベートの費用はもちろん、アパート経営に関係のないものは経費に計上できません。
インターネット代や光熱費、ガソリン代などプライベートと切り分けが難しい場合は、家事按分という考えのもと、割合計算をしていきます。
アパート経営における経費率はどのくらい?
アパート経営を行うには、利益の確保を考える必要があります。経費率を意識することで、より安定的に経営できるようになります。
経費率の目安
アパート経営における経費率の目安は15〜20%です。
経費率は、アパート経営で得られる収入に対して経費がどれだけかかったのかを表す割合です。家賃収入に対する経費の割合と考えていいでしょう。
家賃8万円で8室あるアパートの場合、64万円の15〜20%となるため、月9〜12万円前後が経費の目安となります。
もちろん空室があったり、修繕が必要なタイミングであったりすると大きく変動します。あくまでも目安と考えるといいでしょう。
経費率を下げる方法
家賃を上げれば入ってくる金額が大きくなりますが、アパート経営はそこまで単純な話ではありません。
近隣相場と大きな乖離があると入居希望者が現れず、空室は埋まりません。結果として、得られるべき利益が入らずにアパート経営が行き詰まることもあります。
アパート経営では、経費を減らしていくことがポイントになってきます。
アパートローンの借り換え
アパートをローンで取得した場合は、融資元の金融機関を変更することで経費率を下げられる可能性があります。
固定金利の場合、契約時期によっては金利が高めに設定されているかもしれません。その場合は、アパートローンの借り換えを検討しましょう。一般的に、固定金利よりも変動金利のほうが金利は低めです。変動金利で組み直すのもひとつの手でしょう。
修繕費を抑える
アパート経営をしていると、災害やアクシデントで、突発的に工事が必要となることもあります。
アパートの外側にあたる、外壁や屋根、水道管などは一度の工事に100万円以上かかることも珍しくありません。メンテナンスを怠ったために、損傷が激しくなり大規模修繕が必要になった、というケースは避けたいものです。
このような事態を避けるには、日頃のメンテナンスが非常に大切です。工事を行う工務店によっても金額は異なってきます。流れで懇意の工務店に依頼するのではなく、複数社から見積もりをとって条件のよいところに依頼しましょう。
エレベーターを避ける
エレベーターの経費は思った以上にかかります。保守点検費用と電気代で、年間30~60万円程度かかります。
1フロア2〜3部屋で、階数のある建物だと家賃収入は少ないのに、エレベーターの稼働率ばかり高くなるといったことも起こり得ます。
部屋数とエレベーターのバランスを考えることが重要です。入居者の年齢層なども考慮しながらエレベーターを設置しないことも検討しましょう。
リビンマッチで優秀なパートナーを見つけよう
アパート経営を成功させるには、管理会社が重要です。
管理会社が入居者や物件の管理を滞りなく行ってくれることで、オーナーは経費削減などに目を向けることができます。空室が多かったり、入居者トラブルが多いとそれどころではありません。
安心してアパート経営を行うために信頼のできる管理会社を選定してください。「リビンマッチ賃貸管理」では、複数の管理会社に同時に問合せができます。賃料査定の結果や対応を比較することで、優良な管理会社を選択できます。無料で利用できるため、ぜひご活用ください。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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