任意売却と競売の違いとは。価格差・費用・猶予期間をまとめて解説
住宅ローンの返済が滞ると、銀行など(金融機関)は貸しているお金(債権)を回収する手続きに入ります。銀行などはお金の貸し付けにあたって、返済が滞った時に不動産を担保とする権利(抵当権)を持つので、競売によって強制的に物件を売る、というのが一般的です。
この競売ですが、デメリットがとても大きいのはご存じでしょうか。抱える借金はもちろん、信用や個人情報に関する問題も抱えることになってしまいます。そこで近頃は、任意売却という回避策をとることが多くなりました。
この記事では、任意売却と競売とではどのくらい違うのかを比較し、ご紹介します。任意売却では、競売の時のさまざまな問題をどのくらい回避できるのでしょうか。
任意売却は悩んでないで即行動!まだ間に合います!
もくじ
任意売却と競売の違い
任意売却と競売には3つの大きな違いがあります。いずれも任意売却のほうが得になりますので、順に見ていきます。
競売と任意売却の価格や費用の差
まずは競売と任意売却において最も大きなお金に関する違いです。
競売では市場との価格差が3割以上
競売で住居を手放す時の最大のデメリットともいえるのが、市場価格よりも大幅に安く手放すことになる価格差の問題です。
一般に、競売では相場の5~7割程度でしか売却できないといわれています。
なぜなら、競売に掛けられる物件というのはいわくつきの物件だからです。銀行など(債権者)や買い手からすると、取引の時点で住人がいれば中をみて確認することができなかったり、退去をお願いしてもでていかなかったり(不法占拠)と一般的な売買物件とは状況が違います。
これにより、売却金額は大幅に安くなってしまいます。安ければ、住宅ローンを組んでいる身からすると、残ってしまう借金(残債)が多くなってしまうということになり、ひどい場合には自己破産をせざるを得ない状況になるかもしれません。
競売では費用も自己負担
競売では、売却や引っ越しにかかる費用もすべて自分でしなければいけません。
そもそも競売は、お金を貸している側(債権者)を保護するために行われます。従って売却で得られた代金はすべて債権者に振り分けられ、お金を借りている側(債務者)の手には渡りません。
任意売却なら市場価格で売却できて費用負担もない
任意売却なら、手続きが通常の不動産売却と似ているので、市場価格とほとんど相違なく売り出すことができます。1,000万円の市場価格の不動産であっても、3割違えば300万円の差になるので、後の負担が大きく変わるといえます。
また、任意売却なら不動産売却にかかる費用を「売れた代金」から支払うことができます。
競売はもちろんですが、通常の不動産売却でも仲介手数料や登記にかかる諸費用などは、別途お金を用意して支払わなければいけません。しかし任意売却では、資金繰りに問題もあるので、さまざまな費用を売却代金から充てがうことができるのです。
住居に関するプライバシー
競売ではお金以外にも大きな問題があり、それがプライバシーの問題です。
近所の人に筒抜け
競売では自宅だった場所に、とにかくたくさん業者などが出入りします。競売の申し立ては裁判所を通すので裁判所の関係者の出入りがあります。また競売にかけられた物件には不動産業者などの関係者が調査に来ることもあります。
こういった出入りが盛んになってしまうと、見知った近所の住人に自身の状況が知れ渡ることになってしまいます。
世の中に情報が公開される
競売の情報はインターネットや新聞を通して、広く公開されてしまいます。元の住人と競売物件がかならずしも結びつくわけではないですが、画像なども公開されてしまうためプライバシーが守られません。
任意売却なら通常の不動産売却と変わらない
任意売却の売り出しは、通常の不動産売却と同じように、業者間の不動産情報サイト(レインズ)や有名な不動産ポータルサイトなどを通して行われます。
従って、同じ情報の公開であっても借金苦によるものとして売られることにはなりません。裁判所関係者などの強制的な立ち入りなどではなく、内見の約束をして物件を見てもらうこともできるので、精神的にも余裕をもって売却を進めることができます。
ちなみに、住宅市場の安定を図る準公的な団体(住宅金融支援機構)でも任意売却を推奨しています。
さらに、任意売却においては、ひとつの会社のみと契約すること(専任媒介契約)を推奨しています。これには、レインズに登録して(専任媒介にはレインズへの登録義務がある)少しでも早く買い手を見つけようとする狙いや、ひとつの会社に絞ることで連絡を容易にするといった狙いがあります。
債権者や裁判所の決定に左右される
競売では、さまざまな決定を銀行などの債権者や裁判所が行います。そのため、自分の意志ではどうにもできないことがいくつもあります。
強制的に退去を迫られることも
競売になってしまうと、退去の日程を自分で決められません。裁判所の決定ひとつで住居を失うことになってしまうので、何か手を打たなければ通達のあった日からその家では安心して過ごすことができません。
任意売却なら住み続けられることもある
任意売却の場合は、競売の期限までに売却する必要はありますが、買い手が決まれば基本的には通常の不動産売却と同じように自身で退去日を決めることができます。
その土地やその建物に住み続けたいという希望があるときには、不動産投資家などに購入してもらい、賃料を支払ってその土地・建物に住み続けるという選択肢もであります。
また、任意売却は不動産屋やコンサルタントのような専門家が間にはいるので、さまざまな交渉において手間がかかりません。自分の意志でいろいろと決められるだけでなく、専門家に頼ることもできるのは任意売却の大きなメリットといえます。
任意売却 | 競売 | |
---|---|---|
お金 |
|
|
プライバシー | 通常の不動産売却と同じ |
|
意思決定 | (債権者の合意で)通常の売却と同じようにできる | 自分の意志は関係なく、裁判所などの決定に従う |
任意売却の条件は?競売までの猶予期間や期限・手続きについて
競売に対し、任意売却には大きなメリットがあります。しかし、任意売却するためには期限などいくつかの条件を満たさなくてはいけません。
競売を避けて任意売却を適用するための条件
任意売却をすることができるのは、住宅ローンを滞納している人です。ローンの返済が困難になった時に、銀行などの債権者に相談をして、納得してもらえて、始めて任意売却を行うことができます。
ちなみに任意売却には、債権者にとってもメリットがあります。特に大きなメリットは、競売では相場よりもかなり少ない額しか回収できないのに対して、任意売却では市場価格と同程度の金額を回収できます。
また、債権者が破産せずに済めば、仮に任意売却の売却益でも返せずに残った借金(債務)を返済してもらえる可能性が高いです。
任意売却には「債権者が承諾すること」という大きな条件がありますが、双方にメリットがあるので、できるだけ早く動いて、納得してもらえるよう努めるとよいでしょう。
任意売却をするために確認すべき期日
住宅ローンの滞納期間がどのくらいなのか、またいつまでに手続きをすれば任意売却できるのかなど、競売と任意売却については期間・期日を意識することが重要です。
任意売却を行うまでの2つの通知
まずは、住宅ローンの借入先にもよりますが、2~3カ月ローンの返済に滞ると「任意売却を進める文書」が届くことがあります。この時点で資金繰りに問題を抱えている人などは、相談に載ってくれる可能性が高いので、応じた方がよいでしょう。
滞納から5~6カ月が経過すると、「競売開始通知」が届きます。これは銀行などが住宅ローンの返済がされないことを裁判所に申し立てて受理されると、届きます。
さらにそのまま4カ月前後放置してしまうと、競売が開始されます。
競売開始通知が来てからも任意売却はできる
実は「競売開始通知」が届いてからも、適切な対応をすれば任意売却を行うことができます。
重要なのは、債権者の同意を得ることです。通知から実際に競売が行われるまでには期間に猶予があるので、この間に認められれば、競売を避けることができます。
ただし、時間的に余裕があるわけではないので特に注意すべきなのは「裁判所からの封書」をきちんと受け取って開封することかもしれません。ローンの返済に督促状が来るようになって書類の開封を怠り、任意売却の案内や競売の通知を見落としてしまうと取り返しがつかないので気をつけましょう。
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