任意売却に失敗したらどうなる?|競売を避けて成功させる5つのポイント
住宅ローンの支払いが困難になったとき、任意売却はとても有効な手段です。任意売却であれば一般的な不動産取引と同じように売却できるため、競売よりも高く自宅を売れる可能性があります。
しかしもし、誰も自宅を買ってくれなかった場合は、どうなってしまうのでしょうか。任意売却に失敗したらどうなるのか、どうすれば失敗を回避できるのか、そんな不安を解消する任意売却を成功させる方法を紹介します。
任意売却は悩んでないで即行動!まだ間に合います!
もくじ
任意売却に失敗したらどうなる?
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者と相談して不動産を売却して債務を返済する方法です。
しかし、任意売却を行える期間には限りがあります。この期限までに任意売却を行えないことが、「任意売却に失敗した」といえるでしょう。任意売却に失敗すると、抵当権※を実行されて、自宅を競売※にかけられてしまいます。
自宅が競売にかけられてしまう…
任意売却に失敗して自宅を競売にかけられると、裁判所によって強制的に家を売却されます。競売による売却代金は住宅ローンの残債にあてられ、残金を一括で支払うことを求められます。
住宅ローン返済中は「期限の利益」というものがあり、特別に分割して支払うことが認められているのですが、住宅ローンを滞納すると「期限の利益を喪失」するため、一括返済しなくてはならないのです。
住宅ローンを一括返済できるほど金銭的余裕があれば、そもそも住宅ローンを滞納することはありません。そのため、競売にかけられたあとは、自己破産をするのが一般的です。
任意売却に失敗する理由
競売を阻止する最後の手段が任意売却で、このチャンスを逃すと自宅は確実に競売にかけられます。したがって、任意売却は絶対に失敗するわけにいきません。
任意売却に失敗するのは次のようなケースです。
- 任意売却の期間が短い
- 売り出し価格の設定を誤った
- 債権者から承諾が得られなかった
- 家が差し押さえられていた
- 保証人の同意を得られなかった
それぞれのケースについて詳しく解説します。
任意売却の期間が短い
任意売却は通常の売却と違い、債権者の承諾がなければ自宅を売りに出せません。自宅には住宅ローンの融資と引き換えに抵当権がつけられているため、そのまま売りには出せず、事前に債権者の承諾が必要です。また保証人がいる場合は、保証人の承諾が債権者の同意する条件になっているため、保証人から承諾を取りつける時間も必要です。
不動産の売却は、通常3カ月~半年程度かかりますが、任意売却の手続が可能になってから競売まで半年ほどの期間しかありません。買主を探すにはどうしても時間がかかるため、迅速に動かなければ必要な期間を確保できず、任意売却に失敗してしまいます。
売り出し価格の設定を誤った
任意売却に限らず、不動産の売却ではなかなか購入希望者があらわれず、売れ残ってしまうことがあります。売り出し価格の設定を間違えると、周辺の物件に比べて注目されず、売却に失敗してしまうおそれがあります。
任意売却に失敗すると競売になってしまうため、多少の損はしても市場価格より安く売却したほうがよいでしょう。それでも競売による不利益と比べれば、大したことはありません。適切な売り出し価格で販売するには、任意売却に強い不動産会社のサポートが必要です。
債権者から承諾が得られなかった
任意売却を進めるには、必ず債権者の同意が必要です。債権者の同意が得られなければ、任意売却は失敗します。
通常は不動産会社が債権者となる金融機関と対応し、同意を取りつけます。督促を無視するなど債権者への対応が悪く、心証が悪いと、同意を得られないことがあります。
家が差し押さえられていた
債務者が税金などを滞納していて、自宅が差し押さえられていることがあります。家を差し押さえられている場合は、差し押さえをしている債権者から承諾を得て、差し押さえを解除してもらわなければ任意売却を進められません。
税金の滞納による差し押さえの解除は、交渉をうまく進められないことがあるため、固定資産税などの税金は生活費を削ってでも滞納せず納めるようにしてください。
保証人の同意を得られなかった
住宅ローンに保証人がついている場合、債権者が保証人の同意を任意売却の条件にします。そのため保証人の同意が得られないと、任意売却を進められません。
任意売却を成功させても住宅ローンの残債があり、その分は保証人に支払い義務が生じます。任意売却に同意することは、残債を保証人が支払うことに承諾することでもあるので、ほとんどのケースで同意を渋られるでしょう。
しかし競売になった場合、残債がより多くなるため、保証人の負担が大きくなります。任意売却のほうが有利であることをていねいに説明して、なんとか保証人の同意を得られるように尽力しなければなりません。
そもそも任意売却とはなに?
任意売却は、住宅ローンの返済が難しくなったときに不動産会社をとおして自宅を売却し、その売却代金で住宅ローンを返済する方法です。
住宅ローンの返済が滞ると、金融機関は裁判所を通じて家を強制的に売却する「競売」という手続きを進めます。競売は市場価格より安く売却されるため、任意売却を選択することで適正な価格で売却でき、損失を最小限にとどめられるのです。
自宅には金融機関の抵当権が設定されるため、任意売却を行うときには、住宅ローンを融資している金融機関と話し合い、合意を得る必要があります。
任意売却の流れ
主に任意売却は、次のような流れで進んでいきます。
- 金融機関との相談
- 不動産会社の選定
- 住宅の査定
- 販売活動
- 売買契約と引き渡し
- 住宅ローンの返済
それぞれの過程を解説します。
①金融機関との相談
まず、住宅ローンを融資している金融機関に、返済の困難さや任意売却の希望を伝える必要があります。返済困難であれば、金融機関は住宅ローンの回収を優先するため、協力的になることが多いです。
②不動産会社の選定
任意売却の経験が豊富な不動産会社を探すことが重要です。多くの不動産会社では、任意売却に対応できません。任意売却に対応できる経験や実績がある不動産会社であれば、適切な売却価格の提案や迅速な対応が期待できます。
③住宅の査定
不動産会社に家の現状をチェックしてもらい、いくらで売れるかの目安を知ることができます。この査定価格が後の売却活動の大きな参考になります。
④販売活動
不動産会社が広告や宣伝を行い、購入希望者を探します。内覧のときは、家をきれいに整えるなどの対応が求められます。
⑤売買契約と引き渡し
買主が見つかって条件が合えば契約し、代金と引き替えに自宅を引き渡します。
⑥住宅ローンの返済
売却代金を住宅ローンの返済にあてます。住宅ローンを完済できない場合は、残債を分割して金融機関に支払います。
以上が任意売却の基本的な流れです。金融機関との関係や適切な不動産会社の選定など、ステップごとに注意深く進めることで、スムーズに任意売却を進められます。
競売のデメリット
競売には次のようなデメリットがあります。
- 条件交渉が一切できない
- 住宅ローンの残債が多く残る
- 引っ越し時期の調整ができない
- 立ち退き料、引っ越し代が出ない
- プライバシーがない
- 精神的にみじめになる
競売にかけられた自宅は市場価値より安い価格で売却されるため、それだけ住宅ローンの返済が残って完済が難しくなります。そして競売は債務者の意思とは無関係に進むため、引っ越しの費用や時期の調整ができません。また競売では、関係者がひっきりなしに自宅へ訪れるため、プライバシーが侵されます。
もし自宅にカギをかけて居座ろうとしても、裁判所の関係者が合法的にカギを壊して侵入します。すべてが強制的に進められるため、競売では精神的にみじめな思いをすることになります。
信用情報に記録されて今後の借り入れに影響する
競売にかけられてしまうと、それを信用情報機関に報告され、信用情報に「競売」の記録が残ります。これは、今後新たにローンを組むときに大きなハンディとなります。競売の記録があると、多くの金融機関から借り入れが難しくなるため、新たな住まいを購入したり、ビジネスをはじめるための資金調達をしたりといったことが難しくなるでしょう。
さらに、競売で得られた金額が住宅ローンの残債を下回った場合、その差額が負債として残ります。これは、任意売却に成功すれば防げた可能性があります。この負債が更なる経済的な負担となります。
任意売却に失敗し競売に至ると、経済的、精神的に大きな負担を背負うことになります。そのため、任意売却を選択した場合は、計画的に進めて成功させることが重要です。
任意売却を成功させる5つのポイント
任意売却を成功させられるよう、改めてポイントを確認します。
- 固定資産税を滞納しない
- 早めに任意売却の行動をはじめる
- 債権者との関係を良好に保つ
- 市場価格より安めに売り出す
- 複数の不動産会社に相談する
1~3は債務者が対応できることです。税金を滞納しないことや任意売却の相談を不動産業者に早めにすること、債権者からの督促を無視せずに事情を説明しに出向くなど、誠意を見せる配慮が求められます。
4は契約する不動産会社のサポートが必要です。適切なサポートを受けられる不動産会社と契約するためにも、5が重要になります。任意売却に強い不動産会社はもともと数が少ないため、一般的な不動産売却よりも大変です。また不動産会社の担当者との相性も重要です。
少しでも有利に任意売却を進めるには、できるだけ多くの不動産会社に相談しましょう。できるだけ時間や手間をかけずに不動産会社と相談するため、一括査定サイトの「リビンマッチ」をご利用ください。物件所有者の連絡先や物件情報を入力するだけで、任意売却に対応できる、複数の不動産会社の査定を受けられます。査定の申し込みには、土地や建物の面積などの情報を入力する必要があるため、あらかじめ登記事項証明書(登記簿謄本)などをご用意ください。
任意売却の失敗にかんするよくある質問
- 任意売却で家が売れないとどうなる?
- 任意売却の失敗とは、競売の期日までに売却できない事態になることです。競売で家を売却され、住宅ローンを完済できない場合は、一括返済を求められます。
- 任意売却を成功させるには?
- 競売までという期間が決められているため、早期売却できる不動産会社へ依頼しましょう。販売活動が長期化しない売り出し価格の設定など、不動産会社の力量が重要です。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
人気ワード
離婚で家を財産分与 (27) 老後の住まい (24) 売れないマンション (16) 一括査定サイト (15) 離婚と住宅ローン (13) 海外移住 (11) 訳あり物件 (11) 家の売却 (11) 家の後悔 (10) 不動産高く売る (9) 実家売却 (9) マンション価格推移 (8) マンションの相続 (8) 移住 (7) アパート売却 (7) 不動産会社の選び方 (6) マンション売却の内覧 (6) 家の価値 (6) 離婚と家 (6) 売れない家 (5) お金がない (5) 空き家売却 (5) 離婚準備 (5) 離婚と家売却 (5) 農地売却 (4) 近隣トラブル (4) マンション買取 (4) 家の解体費用 (4) 売れない土地 (3) マンションか戸建てか (3) サブリース (3) イエウール (3) 不動産価格推移 (3) リビンマッチ評判 (2) シンガポール移住 (2)リビンマッチコラムを引用される際のルール
当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。
引用ルールについて