期限の利益の喪失とは?|住宅ローンを滞納したときの対処法
「期限の利益の喪失」をご存じでしょうか。ローンの返済などが滞ってしまうと、分割払いで支払う権利を失うことをいいます。
では期限の利益を喪失すると、どういったことが起こるのでしょうか。そして住宅ローンで期限の利益の喪失をした場合は、どうすればよいのでしょうか。難しそうな期限の利益の喪失について、わかりやすく解説します。
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もくじ
わかりやすく解説!「期限の利益の喪失」
契約に関する法律用語には、一般の人にわかりにくいものが多々あります。それでも、意味をよく理解しておかないと、大きな不利益を被ることがあります。「知らなかった」では済まされないので、意味を正しく理解しておくことが大切です。
まずは一般的な借金の事例を想定し、「期限の利益の喪失」がどういうものか、わかりやすく解説します。
そもそも「期限の利益」とは?
「期限の利益」は言い換えると「分割払いが認められる権利」です。期限までに全額を一括して支払わなくてもよい権利、ともいえます。
これを喪失するのですから、以後は残債を一括で弁済することになります。
どうすると期限の利益を「喪失」する?
民法では「債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。」(民法 第百三十七条)と定められていますが、これとは別に個別の契約で期限の利益を喪失する条件を設定されていることがあります。
たとえば分割払いになっているにも関わらず、以下のようなケースがあります。
- 期日までに支払いがされない
- 融資契約の際に年収を偽って申告した
- そのほか何らかの契約違反があった
このような場合、債務者が期限の利益を喪失する取り決めをしていることが多いです。
期限の利益を喪失したらどうすればいい?
期日までに返済できないために期限の利益を喪失したわけですから、残った債務を一括弁済することはまず不可能でしょう。そのため一般的には、弁護士などに相談して債務整理を検討することが多いです。
それでも支払わない場合は…
期限の利益を喪失したにも関わらず放置すると、債権者は債権回収のために債務者の財産を差し押さえます。自宅や預貯金、給料など目ぼしい財産は差し押さえられ、換価するなどして借金の返済に充当されます。それでも残った債務の返済義務は残ります。
住宅ローンの「期限の利益の喪失」は要注意!
次は住宅ローンにおける期限の利益の喪失について解説します。
期限の利益を喪失するタイミング
住宅ローンの支払いを滞納すると、数カ月は電話による催促や督促状の送付などが行われます。それでも債務者が対応できないでいると、「期限の利益喪失のお知らせ」が届きます。ケースにもよりますが、住宅ローンを滞納してから約3~4カ月で期限の利益を喪失します。
期限の利益を喪失するとどうなる?
期限の利益を喪失して債務者が残債を一括で返せない場合、住宅ローン契約の間に入った保証会社が変わって代位弁済を行います。代位弁済とは債務者に代わって、金融機関などに対して支払いを行うことをいいます。
以後は保証会社が債権者となり、債務者から取り立てを行いますが、一括弁済が必要な点は変わりません。保証会社は債権を回収するために裁判所で手続きを行い、抵当権に基づいて債務者の自宅を差し押さえて競売を行います。
競売によって強制的に換価処分された自宅は、買主に所有権が移ります。そのため、もとの所有者は自宅を追い出されることになります。
競売を回避する方法
住宅ローンの支払が苦しくなったときは、自宅を売却して売却代金で住宅ローンを完済できます。ただし、自宅の売却価格が住宅ローンの残債を上回っていないと、この方法を用いることはできません。
売却価格と住宅ローン残債の金額がほぼ同じで、あと少しで完済できるようなケースでは、何とかして自己資金を用意し、売却代金と合わせて完済することもできます。 売却代金と自己資金では残債をカバーできない場合は、任意売却を検討することになります。
オーバーローンの場合は「任意売却」
売却代金で残債を完済できることを「アンダーローン」、売却代金よりも残債の方が多くて完済できないことを「オーバーローン」といいます。オーバーローンでは、任意売却でしか競売を回避できません。
任意売却の仕組み
住宅ローンが残る自宅には抵当権が設定されたままです。そのため、売却代金で住宅ローンを完済できない場合、市場に売りに出しても買主はあらわれません。
そこで債権者と事前に話し合い、特別に抵当権を外してもらってから市場で売り出す方法が、任意売却です。
任意売却は、債権者にもメリットがあります。競売では市場価値より安く買われてしまいますが、一般市場に売りに出せば、市場価格と同等の価格で売却できます。それだけ残債に充当できる金額が大きくなるため、債権者としてもできるだけ高額で売却してほしいのです。
任意売却後もいくらかの残債は残りますが、これは交渉によって分割で支払うことが可能です。
任意売却のメリットとデメリット
任意売却には次のメリット、デメリットがあります。
メリット
- 競売より高く売れる
- 自己破産を避けられる
- 引っ越し費用を確保できることもある
- 自宅に住み続けられる可能性がある
デメリット
- 手続きに時間がかかる
- 信用に傷がつく
- 保証人に迷惑がかかる
- 失敗する可能性がある
競売だと市場価値の半分程度まで売却価格が下がることがありますが、任意売却であればほぼ市場価格で売却できます。競売では残った債務も一括弁済が必要なので、その後自己破産するケースが多いですが、任意売却であれば分割払いが可能です。
交渉によって引っ越し費用を手にすることも可能で、リースバックと併用すれば売却後も自宅に住めます。
一方で任意売却は関係者との話し合いに時間がかかるため、迅速に進める必要があります。また金融事故扱いになるため、自身の信用情報に傷がつきます。保証人がいる場合は、残債を保証人が負担することになるので迷惑がかかります。
また、債権者の同意が取れない、買主が見つからないなどが理由で、任意売却に失敗するリスクがあることも理解しておきましょう。
任意売却の流れ
ここでは任意売却の流れを簡単に確認します。
- 任意売却を扱う不動産会社に相談
- 債権者の同意取りつけ
- 市場で買主を探す
- 交渉して売買契約を締結する
- 物件引き渡しと精算
- 売却代金を残債に充当
- 引っ越し
- 残った債務を分割で返済していく
任意売却は債務者が個人で進められないので、任意売却を得意とする不動産会社を探して相談することから始める必要があります。債権者の同意を得る作業は、不動産会社が行います。
債権者の同意が取れたら不動産市場で買主を見つけ、売買交渉をまとめます。買主に物件を引き渡し、代金の精算が済んだら、受け取った売却代金を住宅ローンの返済に充てます。物件を引き渡したあと、債務者は賃貸住宅などへ引っ越し、残った債務は引き続き分割で支払っていきます。
任意売却を成功させる3つのポイント
任意売却を成功させるポイントを3つ紹介します。
- 任意売却に強い不動産会社に依頼する
- 少しでも早く動く
- 不動産会社からの連絡をすぐ確認できるようにする
任意売却に強い不動産会社に依頼する
任意売却は通常の売却と異なり、債権者の同意を取りつける手続きが必要だったり、限られた期間で買主を見つけて売買交渉をまとめなければならなかったり、不動産取引としての難易度は非常に高いです。
そのため、任意売却に慣れた不動産会社でなければ、成功に導くのは困難です。しかし任意売却に慣れた不動産会社は限られており、任意売却に強い不動産会社を探さなければならないことがネックになります。
少しでも早く動く
任意売却は期限の利益を喪失し、保証会社が代位弁済を行ってから行動することになります。しかしそこから不動産会社を探していたのでは、貴重な時間を浪費してしまいます。
住宅ローンの支払が苦しくなりそうだと認識した時点で、任意売却が必要になる可能性を考え、先んじて任意売却に強い不動産会社を探しましょう。早めに相談すれば、任意売却に必要な期間を確保でき、買主探しに充分な時間をかけられます。
売り急いでいる事情もあるため、任意売却は価格交渉で不利になることが多いです。しかし時間に余裕があれば、交渉で不利にならず、できるだけ高く売れます。それにより残債を多く返済し、その後の生活にゆとりをもたせられます。
不動産会社からの連絡をすぐ確認できるようにする
任意売却の買主探しは通常の不動産売却と比べて難しく、不動産会社も興味を持ってくれた購入希望者を逃さないように、できるだけ早く条件交渉を進めたいと考えています。そのとき、売主に連絡を取ろうとしてもつながらないと、購入希望者との交渉が一旦途絶えてしまいます。
「いま内見希望が入りました。このあとすぐに案内したいのですが」といった連絡にすぐに応じられないと、購入希望者を取り逃してしまい、任意売却の成功が遠のきます。できるだけ不動産会社からの連絡を逃さず、電話に出られる体制をとっておきましょう。
任意売却に強い不動産会社は「リビンマッチ」で見つかる!
任意売却に強い不動産会社を見つけるのは、簡単なことではありません。しかも少しでも早く行動しなければいけないのに、1社1社連絡するにはかなりの時間がかかります。そこで役立つのが任意売却に対応できる不動産会社に査定を依頼できる「リビンマッチ」です。
リビンマッチでは任意売却を希望する人の連絡先や住所、物件の情報を入力すれば、複数の不動産会社に査定を依頼できます。物件情報を入力するときは、土地や建物の面積などの情報が必要なため、あらかじめ登記事項証明書(登記簿謄本)などをご用意ください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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