任意売却ができない7つのケースと競売や自己破産を避ける方法を解説
任意売却は、住宅ローンを滞納した場合に、金融機関などの債権者から合意を得たうえで自宅を売却する方法です。任売とも呼ばれます。
住宅ローンを滞納し続けると、最終的には競売にかけられ、市場価値を下回る金額で強制的に手放すことになります。
これに対し、任意売却を選択すれば市場価値で売れるため、住宅ローンの未返済額を効果的に削減することが可能です。
ただし、任意売却を進めるには条件を満たす必要があり、手続きが進められないケースもあります。
本記事では、任意売却ができないケースを紹介します。また、できない状況に陥らないための対策も紹介しますので、記事を参考にして最悪の事態を避けましょう。
任意売却できないケース
以下のようなケースを紹介します。
- 債権者である金融機関が認めていない
- 住宅ローンの残りが売却価格より高い
- 税金を滞納し物件が差し押さえられている
- 共同名義人や連帯保証人が合意していない
- 時間的な余裕がない
- 売却に必要な内覧などの活動が実施できない
- 管理費や修繕積立金の滞納額が大きい
それぞれについて詳しく解説します。
ケース1:債権者である金融機関が認めていない
任意売却は、住宅ローンを返済することが難しくなった場合に、しかたなく利用される方法です。
中には、原則として任意売却を認めないという方針の金融機関もあります。もともと認めない方針がある金融機関から、同意を得ることは非常に難しいでしょう。
ただし、任意売却をすることでローンの残りを返済できる可能性が高いと判断されれば、同意を得られる可能性は十分にあります。
ケース2:住宅ローンの残りが売却価格より高い(オーバーローン)場合
自宅の売却代金で住宅ローンを完済できる状態のことをアンダーローンといいます。反対に、自宅の売却価格がローンの残り金額よりも低い状態はオーバーローンといいます。
オーバーローンの場合、売却価格とローンの残りの金額差があまりにも大きいと、住宅ローンの債務が残ってしまうおそれがあります。そのため、金融機関が売却に同意してくれないおそれがあります。
そのため、自宅がいくらくらいの値段で売却できるのか、あらかじめ把握しておくことが重要です。
任意売却後の住宅ローンの残り金額を計算して、将来的にどのようにして返済するのかという返済計画案を提示します。実現性がある返済計画案であると金融機関が判断した場合は、同意を得やすいでしょう。
ケース3:税金を滞納し物件が差し押さえられている
任意売却で大きな足かせとなるのが、税金滞納による差し押さえです。差し押さえをされた不動産は、勝手に売却できません。
そのため、資金を集めて先に税金の滞納を一括で弁済する、税金の分割払いを了承してもらうなどして、差し押さえを解除する必要があります。
ケース4:管理費や修繕積立金の滞納額が大きい
住宅ローンを支払っている自宅がマンションの場合、管理費や修繕積立金を滞納していると、金額によっては任意売却ができません。
滞納があっても金額が少ない場合、債権者が売却代金から滞納分を支払う約束をしてマンションの管理組合から了承を得られることが多いです。しかし、滞納している金額が多いと負担が大きいため、債権者から任意売却の合意が得られません。
管理費などを滞納したままのマンションを売りに出しても、買主が滞納した金額を負担することになるため、買ってくれる人がいないのです。
ケース5:共同名義人や連帯保証人が合意していない
任意売却をするには、自宅の共同名義人や住宅ローンの連帯保証人との合意が必要です。
共同名義人や連帯保証人が配偶者や親族であれば、合意を得やすいでしょう。しかし、すでに離婚していたり関係が悪化したりしているような場合は、簡単には合意が得られないおそれがあります。
メリットをきちんと説明して、冷静に合意に向けた話し合いを進めることが重要です。
ケース6:時間的な余裕がない
住宅ローンの返済を滞納し続けていると、金融機関などの債権者は自宅を差し押さえて、裁判所による競売の手続きをすすめます。滞納から競売までの期間は、1年~1年半が目安です。
開札日になると競売を止められません。反対にいうと、開札日の前日までに手続きを完了させれば、競売を阻止できます。
しかし、現実的には開札日の直前に金融機関などの債権者が任意売却に同意する、ということは考えにくいです。そのため、差し押さえが実行される前までに任意売却ができるように準備しておくことが必要です。
ケース7:売却に必要な内覧などの活動が実施できない
任売であっても、一般的な売却活動と同様に、自宅の購入希望者に対して内覧や重要事項の説明を実施します。
何らかの理由で内覧などの十分な売却活動ができないと、買主が見つからず売却に至らないおそれがあります。
このような場合は、内覧対応などができない原因を解消する必要があります。
任売ができないとどうなる?
以下の状況に陥るリスクがあります。
- 競売にかけられてしまう
- 自宅から立ち退かなければならない
- 自己破産するおそれがある
それぞれについて詳しく説明します。
競売にかけられてしまう
金融機関は住宅ローンを貸し出すときに、不動産を担保にする抵当権という権利を自宅に設定します。
任意売却できず、住宅ローンの残りを返済できないと抵当権が行使され、債権者に自宅を差し押さえられます。差し押さえられた自宅は、裁判所による強制的な競売へと移行します。
競売手続きが進むと、債権者から合意を得ることは難しいです。競売に移行する前に、手続きをすすめておくことが重要です。
競売については株式会社アサヒ地建の記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
自宅から立ち退かなければならない
競売手続きが進み、決定した買受人が買受代金を裁判所に払うと、所有権が買受人に移ります。この払込が完了する日までに、その物件に住んでいる人は立ち退かなければなりません。
立ち退かない場合は、法的手段によって強制的に排除されます。
自己破産するおそれがある
任意売却ができず住宅ローンの残り額を払えないと、最悪の場合は自己破産を避けられません。自己破産すれば住宅ローンの残り額を払う必要はなくなりますが、税金の支払い義務は残ります。
また、自己破産をすると信用情報に傷がつき、行政書士など一定の資格を取得できません。
破産手続が開始されると官報に公告(掲載)され,各種の効果(制限)が発生しますが,その代表的なものは次のとおりです。
- 保険募集員,警備員,弁護士,税理士,後見人等になれない。
破産管財人が選任された場合は,次のような制限を受けることがある。
- 居住制限を受ける(裁判所の許可なく転居や長期の旅行ができない。)。
- 郵便物等が破産管財人に転送される場合がある。
- 破産管財人に対して財産状況などの説明義務を負う。
自己破産をすると、さまざまな不利益があることを理解しておきましょう。
競売を避けて任売を成功させる方法
競売が実行されるような状況を回避して任意売却を成功させる方法は、以下の3つあります。
- 住宅ローンの返済方法を変更する
- 住宅ローンの借り換えを実行する
- 不動産会社になるべく早く相談をする
競売が実行されてからでは遅いため、できるだけ早く行動しましょう。
住宅ローンの返済方法を変更する
住宅ローンの返済が厳しくなってきたら、住宅ローンを借りている金融機関に返済条件の変更や緩和を相談してみましょう。具体的には、返済回数の増加や適用金利の引き下げなどです。
金融機関にとっても、債務者が返済できなくなり競売に移行してしまうと、時間や手間がかかります。そのため、きちんと返済できるのであれば、条件の緩和を検討してくれるでしょう。
住宅ローンの借り換えを実行する
もしも高い金利で住宅ローンを借りていて、返済方法の変更に金融機関が応じてくれない場合は、現行よりも金利が安いほかの住宅ローンに借り換えることもひとつの方法です。
住宅ローンの適用金利が低くなると、債務者の返済金額が減少して返済が楽になるはずです。
不動産会社になるべく早く相談をする
住宅ローンを対応して返済が困難になったら、なるべく早いタイミングで自宅の任意売却を不動産会社に相談することが重要です。
何もせずに放っておくと、最悪の場合は差し押さえ、競売、自己破産まで進んでしまうおそれがあります。
しかし不動産会社によっては、任意売却を取り扱っていないところもあります。また、取り扱っていても実績が乏しいと、手続きに時間がかかり期限に間に合わないおそれがあります。
効率的に任意売却の実績が豊富な不動産会社を探すには、一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。リビンマッチでは、簡単な物件情報を入力するだけで、複数の不動産会社に一括で問い合わせられます。
悩んでいる時間はもったいないので、リスクを回避するために、いますぐリビンマッチを利用しましょう。
任意売却できないケースに関するよくある質問
- 任意売却できないのは具体的にどのようなケースがある?
- 債権者である金融機関がそもそも認めていなかったり、オーバーローンの場合は難しいでしょう。また、共同名義人や連帯保証人が合意していなかったり、競売までに間に合わないケースが考えられます。
- 任意売却ができないとどういう状況が発生するの?
- 家が競売にかけられてしまい、立ち退かなければならないリスクがあります。また、最悪の場合は自己破産にまで陥る場合もあります。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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