鉄筋コンクリート(RC)造の固定資産税は木造やS造より高いのか
マンションなどの固定資産を保有している場合、固定資産税を納税する必要があります。この固定資産税が決まる要因はいろいろありますが、この記事では、固定資産税と建物の構造の関係についてご紹介します。
鉄筋コンクリート造の固定資産税の金額はどのように決まるのでしょうか。また、鉄筋コンクリート造や木造など、建物の構造によって固定資産税は変わるものなのでしょうか。
もくじ
鉄筋コンクリート(RC)造の建物における固定資産税
まずは固定資産税がどのようなものか簡単にご紹介します。鉄筋コンクリート(RC)造の特徴と合わせて確認していきましょう。
固定資産税とは
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に対して課される税金のことを言います。所有者には納税通知書が送付され、年4回に分けて税金を支払います。(一括で支払うこともできます)
納税通知書を見れば固定資産税を課すために使う固定資産税評価額や実際の固定資産税額はわかりますが、自分で計算することもできます。
式にある固定資産税課税標準額は、固定資産税評価額から「住宅用地の特例」や「新築住宅に対する減額措置」等の減税を考慮した後に算出される額のことで、固定資産税を算出する元になる価格となります。
なお、評価額は3年に1度見直しが行われ、固定資産税課税標準額は、市町村の固定資産税課等に置いてある課税台帳に記載されています。
鉄筋コンクリート(RC)造の資産価値
固定資産税の評価について、鉄筋コンクリート(RC)造は木造に比べて以下の点で違います。
- 構造建築物として性能が高い
- 建築費用が高い
これによって資産価値が高いと判断されるので、詳しく見ていきましょう。
耐久性が高い
固定資産税評価額は、優れた性能を備えていると高くなります。鉄筋コンクリート造の建物は、木造や鉄骨造の建物よりも耐火性や遮音性、耐震性、耐久性に優れており、資産価値が高いと判断されます。
なお、鉄筋鉄骨コンクリート(SRC)造も、高層マンションにも用いられるほど高い耐震性や耐久性などを兼ね備えています。鉄筋コンクリート(RC)造と同様に性能に優れており、このことからも鉄筋鉄骨コンクリート造も鉄筋コンクリート造と同様に、固定資産税が高くなる傾向にあります。
建築費用が高い
建築費が高い構造は、資産価値が高いと判断されることがあります。鉄筋コンクリート造は、1㎡あたりの建築費が他の構造に比べて高いという特徴があります。特に材料費は、木造よりも鉄筋コンクリート造の方が高くなる傾向があります。また、鉄筋コンクリート造は現場での施工が必要で、事前に工場で用意できる構造よりも費用が高くなります。
ちなみに鉄筋コンクリート造の材質による特徴以外にも、外壁や屋根の仕様、仕上げ材に何を使用しているかによっても建物の評価額が変動すると言われています。
このような理由から、鉄筋コンクリート造は他の構造建築物と比較して資産価値が高いと認められています。従って、固定資産税課税標準額が高くなり、固定資産税額も高くなると言えるでしょう。
鉄筋コンクリート(RC)造と木造で違う固定資産税の評価
鉄筋コンクリート(RC)造は丈夫さ故に、固定資産税の評価における価値の減り方が緩やかになります。これによって木造よりも固定資産税が高額に感じることがあるので、ご紹介します。
構造で異なる固定資産税評価額
建物は年数を重ねるごとに劣化していきます。そこで固定資産税評価では、鉄筋コンクリート(RC)造など建物の構造によって法定耐用年数(利用できる年数の目安)などがあらかじめ決められています。ここで木造などと比較して、鉄筋コンクリート(RC)造がどのようになっているのか、確認していきましょう。
鉄筋コンクリート(RC)造の法定耐用年数と減価償却
まずは代表的な4つの構造について、法定耐用年数を確認しましょう。
構造名 | 略称(英) | 法定耐用年数(単位/年) |
---|---|---|
木造 | W造(Wood) | 22 |
鉄骨造 | S造(Steel) | 34 (重量鉄骨の場合) |
鉄筋コンクリート造 | RC造(Reinforced Concrete) | 47 |
鉄筋鉄骨コンクリート造 | SRC造(Steel Reinforced Concrete) | 47 |
※法定耐用年数は減価償却の計算で使う数字なので、実際の建物の寿命を表したものではありません。中古で建物を売却する時に、資産価値判断の指標として用いられます。
減価償却では取得価額に毎年一定の割合(償却率)を掛けていき、資産の目減りを計算します。鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は木造や鉄骨造よりも長い47年と定められているので、緩やかに価値が減少していくことがわかります。
なお、鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年ではあるものの、定期的なメンテナンスを行えばそれ以上の寿命となるとも言われています。
木造・非木造で異なる経年減点補正率
固定資産税評価額は、総務省による固定資産評価基準に従って以下のように算出されます。
この計算では、建物を1から建てた場合にかかる費用(≒再建築価格)に年数の経過によって生じた劣化(≒経年原点補正率)を考慮して、固定資産税評価額としています。
固定資産税評価額の計算における経年減点補正率は、「木造」と「非木造」で補正率が違います。木造の場合には20年間、毎年補正率が下落していきます。一方で非木造は、45年間かけて下落していきます。つまり実際の固定資産税の計算においても、鉄筋コンクリート造は木造に比べて資産価値が減りにくい(相対的に高く設定されている)ということがわかります。
なお、経年減点補正率は0.2(20%)が最低率です。どちらの構造でも固定資産税がゼロになることはないので、気をつけましょう。
固定資産税が変わる他の要因
建物の評価額は、その固定資産がある自治体によって判断されており、1㎡あたりの単価を算出しています。従って、どの地域に建物があるかによって評価額は変動します。(RC造の場合、評価額は木造の1.8倍にもなる地域もあります。)
市役所、区役所等には固定資産税を担当している部門があります。固定資産税額について気になることがあれば、建物・土地を管轄している役所に不明な点を問い合わせてみるのも良いでしょう。
鉄筋コンクリート(RC)造のメリット・デメリット
鉄筋コンクリート造は固定資産税が他の構造建築物よりも高くなります。しかしそれだけ高くなる理由やメリットがあるので、ここでまとめておきます。全体のメリットから、固定資産税について見ていきましょう。
鉄筋コンクリート(RC)造のメリット
耐用年数が長く資産価値が下がりにくい
時間の経過に伴って劣化しにくい鉄筋コンクリート造は、資産価値も下がりにくいという利点があります。不動産の売却をする時は、木造よりも比較的減額を抑えて売却できる可能性が高くなります。また、不動産投資においては耐用年数が長いことで、長期のローンが組みやすかったり、家賃を維持できるというメリットがあります。
火災保険料が安くなる
鉄筋コンクリート造の建物は、単に燃えにくいだけでなく倒壊や延焼を防ぐための基準を満たした耐火構造となっています。このため同じ保証でも、火災保険料が木造よりも安くなる傾向があります。
デザインの自由度が高い
鉄筋コンクリート造で主に使われているコンクリートは自由に成形が可能な原料です。このため、型枠をどのように組むのか次第で自由な設計が可能になります。また、木造と異なり強度設計に関するハードルが低いことも、自由度を高めています。
鉄筋コンクリート(RC)造のデメリット
固定資産税だけでなく、建築費や購入費が高くなる点はデメリットでしょう。この記事でご紹介したメリットと比較して、どちらが良いのか判断してみていただければと思います。
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