アパート経営・マンション経営とは
もくじ
アパート経営・マンション経営の仕組み
アパートやマンションは自分で住むためだけではなく、他人に貸し出すことで収益を得る、不動産投資として建築・購入する場合もあります。
経営や投資と聞くと、「なんだか難しそう」「敷居が高そう」と敬遠してしまうかもしれません。
アパート経営・マンション経営の仕組みはどのようになっているのでしょうか。
アパート経営・マンション経営とは
アパート経営やマンション経営というと、建物一棟をまるごと建築して、賃貸するイメージが強いかもしれません。
もちろんそのようなケースもありますが、建物のワンフロアーや一部屋だけでも、立派な不動産経営とみなされます。
賃貸経営の特徴として、家賃収入を住宅ローンの返済に充てることができる上、完済した後は家賃収入がそのまま利益として得られることが挙げられます。
昇給の見込みがないサラリーマン世帯や、収入が公的年金のみの定年退職した世代にとって、安定的な収入源を得るために賃貸経営をする人が増えています。
また、相続時の節税対策や生命保険として活用できることからも注目を集めています。
アパート経営・マンション経営の仕組み
アパート経営やマンションの経営とは、第三者に部屋を貸し出しすることで家賃収入を得る資産運用手法の1つです。
まずは、不動産投資の大まかな流れを押さえておきましょう。
賃貸経営を始めるには、どの場所に建物を建築・購入するのかを検討する必要があります。
入居者のターゲットを学生にするのか、単身赴任者にするのか、またはファミリー層にするのかによって求められるニーズも変化するため、場所選びは十分に検討を重ねる必要があります。
自己資金で建築費用が賄える場合を除き、ほとんどの場合は銀行でローンを組んで資金を調達します。
建築費用が準備できたからと言っても、借りてくれる人がいないと家賃収入を得ることができません。
不動産会社と連携して、入居者をアップさせるための経営努力や、不動産に関する知識を継続して身につけるようにしましょう。
得られる収入の活用方法は、会社員時代、定年退職後のセカンドライフ時、相続時といったライフステージによって違いがあります。
会社員の場合は給料の他の副収入として生活費や教育費に充てることができますし、定年退職後にはゆとりあるセカンドライフを送るための私的年金として活用することもできます。
年金はその人が亡くなってしまった場合は給付がなくなってしまうため、経営しているマンションまたはアパートを資産として遺族に残すことで、生命保険としても活用することができます。
アパート経営とマンション経営の違いとは
そもそもアパートとマンションは、建築構造に違いがあります。
一般的に、アパートは2階建て、木造または軽量鉄骨造となっており、マンションは3階建て以上です。
マンションは高さがあるため、耐久性・耐震性の点から鉄筋コンクリート等で建築されています。
アパート経営は一般的に建物一棟を建築または購入して、賃貸経営をすることを言います。
対してマンション経営は、一部屋から購入することができます。
収益が安定し、慣れてきたら賃貸する部屋を増やすこともできるため、初心者にも始めやすいと言えるでしょう。
マンション経営は一部屋から始められるとは言え、一部屋しか貸し出す部屋がない場合、入居者がいないと家賃収入を得ることはできません。
アパート経営は複数の部屋があることからも、空室リスクや収益機会を分散することができます。
仕組みを理解すると、不動産投資に対する敷居も少し低くなったのではないでしょうか。
安定的な収益を得ることは、ゆとりある生活を手に入れることに繋がることからも、自身のライフプランを見直す上で、アパート経営・マンション経営の選択肢を加えてみるのも良いかもしれませんね。
アパート経営・マンション経営のメリット・デメリット
仕組みをよく理解した上で始めることが、アパート経営・マンション経営の第一歩です。
実際に運営していく中で、どのようなメリットとデメリットがあるのかを紹介します。
アパート経営・マンション経営のメリット
まずは、不動産は資産運用としても活用することができる点が挙げられます。
家賃収入の他に、購入時より土地の値段が上がっている場合は、差額を収入として得ることができます。
また、入居者が途絶えなければ安定的に家賃収入を得ることができるため、老後の年金としての役割も担うことができます。
マンションやアパートの住宅ローンの手続き時に「団体信用生命保険」に加入すると、ローンを組んだ本人が亡くなった場合は、残りのローンを免除される保険があります。
さらに、建物を遺族に引き継ぐことで家賃収入を継続することも可能です。
年金の場合、受給者が亡くなると給付はなくなってしまうことからも、アパートやマンションを経営することは、生命保険のような役割を果たせると言い換えることもできると言えるでしょう。
また、節税対策として不動産を保有する人も増えています。
これは賃貸物件として保有すると、固定資産税が軽減されるためです。
加えて、現金をそのまま相続するよりも建物として相続した方が、評価額が下がるため相続税対策ができます。
アパート経営・マンション経営のリスクとデメリット
上記のようにアパート経営・マンション経営をしていくためには、メリットがたくさんあることがおわかりになったのではないでしょうか。
しかし、経営をしていく中で、メリットだけではなくリスクやデメリットもあるので、注意が必要です。
まず挙げられるのが、空室のリスクです。
空室が続いてしまうと、当然ながら家賃収入を得ることができず、賃貸経営の継続そのものができなくなってしまいます。
また、建物は経過年数と共に内装はもちろん、外壁や設備が老朽化することは避けられません。
老朽化によって資産価値が下がってしまう可能性があることからも、居住スペースに加えて共有部分の衛生面を保つことや、エレベーターなどの設備は定期的なメンテナンスは欠かせないと言えるでしょう。
他にも、日本は台風や地震が多いことから、自然災害もリスクです。
建物が損害を受けたり、最悪の場合消失したりする可能性もあるため、火災保険や地震保険への加入をして備えることも必要です。
住宅ローンの金利変動もリスク要因の1つです。
経済環境によって、金利も変動することから、購入時のままにしておくのではなく定期的に見直すことをおすすめします。
借り入れ金額が大きいことからも、わずかな金利差であっても住宅ローン返済金額に大きな影響があるのです。
上記のように、アパート経営・マンション経営にはメリットが多くある一方で、気をつけるべき点もあります。
メリットだけではなく、リスクやデメリットとうまく向き合って対処していくことも、不動産経営を有利に運営するポイントです。
アパート経営・マンション経営の失敗事例
いざアパート経営・マンション経営を始めてみようと思っている人にとって、できることなら失敗はしたくないと思うのは当然のことです。
具体的な失敗事例から、成功のヒントを見つけましょう。
土地選びの失敗事例
土地選びの際に、入居者のターゲットを絞らないと失敗してしまいます。
単身赴任者であれば、通勤に便利な電車や駅から近い方が求められますし、ファミリー層であれば、近所に保育所や学校、スーパーマーケットなどがあると、駅から少し遠くても子育て環境に適していると考える人がいるかもしれません。
購入前に、地域の特徴や、どのような人が住んでいるのかを調べるようにしましょう。
最新の設備が整っていたとしても、入居者のニーズに合わないと家賃収入を得ることができません。
ローン組みの失敗事例
金利変動リスクにも注意が必要です。
ローンを組んだ当初のままにしたことで、返済額が多くなってしまうという失敗例があります。
現在の日本はマイナス金利が導入されているため、ローンの金利が下がっています。
仮に固定金利で住宅ローンを組んでいる場合は、同じ金利を払い続けますから、現在の変動金利状況下と比較すると多くの利息を払っている可能性があります。
借り換えを検討する場合も、審査に時間がかかることから、余裕を持って定期的に金利をチェックするようにしましょう。
収支計画、利回りの失敗事例
時間の経過に伴って、当初見込んでいた収益が得られないという失敗例もあります。
建物のある地域が再開発の対象となったり、道路・電車の交通網に変化があったりすると、周辺地域は大きな環境変化が起こるのはもちろん、入居者も変化することが考えられます。
場合によっては家賃を下げなければ入居者を維持できないケースが出てくるかもしれません。
また、自然災害はいつ起こるか予測が難しいため、急な修繕費の発生によって収支計画にズレが生じることもあるでしょう。
収入に対して支出の割合が増えると、利回りも下がります。
定期的な収支計画の見直しをすると共に、周辺地域の環境変化にもアンテナを張っておくことをおすすめします。
空室問題・入居者不足の失敗事例
利回りばかりに目が行ってしまい、建物のある地域の家賃相場に合わなかったことから、入居者が集まらないという失敗があります。
また、入居者にとって魅力ある物件が維持できなかったために、空室率が高くなるという失敗もあります。
建物は年数を重ねると老朽化してしまい、新築時に比べると資産価値が下がってしまいます。
居住スペースはもちろんのこと、共有部分、外壁などを定期的にメンテナンスする費用も見積もっておきましょう。
セキュリティ対策やリフォームなど、時代に合わせた設備導入を検討など、柔軟な対応が求められます。
賃貸経営を継続するには、入居者が途絶えないための経営努力を怠らないことも必要です。
アパート経営・マンション経営を運営していくためには、失敗ばかり恐れていては何も得られません。
これらの失敗事例からリスクやデメリットをよく理解し、どのくらいの収益を上げていきたいのか、ライフプランに合わせた目標を明確にすることがオーナーとして求められます。
アパート経営・マンション経営の収入(年収)の目安
では、実際にアパート経営・マンション経営をするにあたって、どのくらいの収益を目指したら良いのでしょうか。
アパート経営・マンション経営における収入の考え方は?
アパート経営やマンション経営で大切になるのが、ライフプランに合わせてどのくらいの利益や利回りを得たいのかをはっきりさせておくことです。
例えば、年金で生活している人は、積極的に高い利回りを追うのではなく、ゆとりある老後生活を送るための収入があれば十分と考えるのが自然だと言えます。
20代独身の人でしたら、定年退職までの時間も多くあり、収入を得るチャンスも多く残されているため、取れるリスクの範囲も大きいです。
年齢によって取れるリスクも変わるため、なぜアパート・マンション経営をするのかを明確にし、目的に応じて不動産を保有するようにしましょう。
収入と支出の考え方は?
アパート経営・マンション経営における代表的な収入は、家賃収入が挙げられます。
また、保有している物件を売却することで得られる売却益が、収入になる場合もあります。
逆に、建物の資産価値が下がった状態で売却すると損失が発生することもあります。
支出はローンの支払いだけではありません。
借入金の利息や、建物を不動産会社から購入した場合、仲介手数料も発生します。
固定資産税や不動産取得税といった税金、建物の保有には定期的なメンテナンスとして修繕費も見積もっておく必要があります。
家賃収入をローンの返済に充てることができるのはアパート経営・マンション経営のメリットですが、支出する費用もあるため収支計画を立てて定期的に収支のバランスを確認するようにしましょう。
年収の目安はどれくらいか
2,000万円のアパートを建築し、5戸の部屋を家賃6万円で賃貸経営することを仮定して、年収の目安を計算してみましょう。
年間収入
建築時の諸経費には不動産取得税、登記費用などがあり、一般的には物件価格の7~10%が目安です。
仮に諸経費を10%とすると、この物件の場合は200万円です。
建築金額の2000万円と諸経費200万円を足した2200万円がこの物件の総投資額です。
次に年間でどのくらいの家賃収入が得られるかを見てみましょう。
稼働率100%である場合、年間収入は5戸×6万円×12カ月=360万円です。
しかし、稼働率が常に100%であるとは限りません。
稼働率が90%である場合は360万円×90%=324万円になり、稼働率100%時と比較すると、年間36万円が賃料ロスです。
このように、稼働率を高めることが年収を上げるポイントであることがわかります。
年間支出
仮に先ほどの総投資額2200万円のうち、自己資金(頭金)として500万円を用意し、3%の金利で借入期間を30年とした場合、年間のローン返済額は87万円です。
この他に、年間の稼働率による賃料のロスと、空室のあるなしに関係なく発生する建物の維持費や税金といった諸経費などが、支出として挙げられます。
稼働率90%とした場合の空室控除と諸経費の目安は、年間で90万円ほどです。
年間のローン返済額と諸経費を合計した額は177万円となり、これが年間の支出額の目安です。
年収の目安
年間収入から年間支出を引いた金額が手取り年間収入になるため、『(年間収入)360万円-(年間支出)177万円=(年間手取り収入)183万円』です。
なお、頭金となる自己資金をどのくらい準備できるか、ローンの借入期間の長さや金利によっても手取り年収が変動するため、上記はあくまで参考値です。
利回りの考え方とは?表面利回りと実質利回り
利回りとは、購入した不動産に対してどのくらいの利益が得られているのかを表した数字のことです。
先ほどの2,000万円のマンションの場合、利回り10%を得るためには200万円の利益が必要です。
代表的な利回りには、表面利回りと実質利回りがあります。
- 表面利回り
- 「年間予定家賃収入÷物件価格」で求められ、購入時にかかる諸経費や維持費は含まない。
- 実質利回り
- 年間手取り家賃収入÷物件価格」で求められ、諸経費や維持費が家賃収入から引かれている。
一見利益が多く出ているように見える場合でも、計算してみると利回りが低いこともあるため、2つの利回り計算を活用して経営に役立てるようにしましょう。
物件の価値は、投資額(購入額)や利益の額だけでは図れません。
利益率を見ることで保有物件の利益効率を知ることができます。
どのくらいの収益を得たいのか、自身のライフプランと照らし合わせながら、アパート経営やマンションを経営するようにしましょう。
アパート経営・マンション経営に必要な自己資金とローンの組み方
不動産投資を成功させたいと思うのは当然のことで、ついつい得られる収入ばかりに気を取られてしまいがちです。
アパート経営やマンション経営を始める際に、必要な自己資金やローンの組み方について紹介します。
不動産投資にはどのようなローンの種類がある?
不動産を購入する場合、多額の費用がかかることからもローンを組むのが一般的です。
メガバンク、地方銀行、信託銀行といった民間ローン、住宅金融支援機構、日本政策金融公社といった公的ローンに分けられ、審査を経てから融資を受けることができます。
金利、融資限度額、借入期間といった条件は、どのローンを組むかによって、また借りる本人の収入や事業計画によっても条件が違います。
自己資金はどれくらいあれば良い?
自己資金が多い方が、頭金を多く支払うことができるため、月々の返済する額を減らすことができます。
さらに、借り入れ金額が少ないと支払う利息も少なくいです。
条件次第ですべてを融資してくれるフルローンを組める金融機関もあるため、極論を言えば、自己資金ゼロでも不動産投資を始めることができると言えるでしょう。
しかし、月々の返済額が多くなったり、返済期間が長くなったりというリスクもあります。
その物件が永続的に家賃収入を得られるとは限りませんし、定期的なメンテナンスや修繕が必要になることや、不動産保有には税金もかかるため支出も避けられません。
しかし、頭金を多くしたからと言っても、手元に残るお金が全くなくなってしまうのも危険です。
生活費が圧迫されたり、ローンの支払い自体が難しくなったりする可能性もあります。
不動産保有には、自分の身の丈に合った返済計画を立てる必要があると言えるでしょう。
アパートローンと住宅ローンの違いは?
不動産取得時に組むローンの代表的なものとして、アパートローンと住宅ローンがあります。
住宅ローン
よく聞く住宅ローンは、マイホームを購入するといった不動産の保有目的が「居住するため」に融資を受けるものです。
住宅ローンは、借り主の返済能力が審査に影響すると言えます。
現在日本はマイナス金利が導入されており、金利が低い傾向にあります。
アパートローン
アパートローンは、賃貸経営をすることで家賃収入を得るといった「事業を営む目的」として融資を受けるものです。
従って、賃貸経営の事業計画や保有する建物の耐用年数が審査の際に重視されます。
金利も住宅ローンと比べると高く設定されます。
アパートローンの金利の考え方とは?
ローンを組む時に選べる金利は、大きく分けて変動金利と固定金利があります。
変動金利
変動金利は、名前のとおりその時点の動向によって変動する金利のことです。
融資を受ける金融機関によって時期は違いますが、定期的に金利が変わるのが特徴です。
固定金利
固定金利は、借り換えをしない限り同じ金利が適用されます。
銀行がお金を貸し出す際の金利(短期プライムレート)の変動によって、アパートローン金利も影響を受けると言われています。
金利は景気や国の政策など、その時点の情勢によっても変動の要因です。
変動金利、固定金利それぞれメリット・デメリットがあるため、特徴をよく理解してからローンを組むようにしましょう。
ローンの返済計画の立て方とは
ローンの返済は金額も多く、返済期間も長期になることから、事前の支払計画を立てておくことが必要です。
ローン返済には、元利均等返済と元金均等返済があります。
元利均等返済
元利均等返済は元金と利息を足した返済額が、ずっと同じ額になる返済方法です。
支払う金額は同じですが、当初の支払いは利息部分の割合が多く、徐々に元金部分の割合が増えていきます。
元金均等返済
元金均等返済は、元金と利息を足した返済額が、返済が進むにつれて支払う金額が減っていきます。
元金の返済が多いことから、元利均等返済と比べると元金が減るのが早いと言えますが、返済開始当初は利息の負担も大きくなるため、返済額が多くなるのが特徴です。
家賃収入が得られる見込みがあるからと言って、多くの金額を返済に充てることは時に、収支を狂わせてしまうことがあります。
生活費はもちろんのこと、建物保有の維持費や税金、修繕費など支出も多くかかります。
繰り返しですが、融資を受ける前にローン返済のシミュレーションをするようにしましょう。
まとめ
不動産投資の1つとして、自身のライフプランに合わせた資産運用に活用することができる、アパート経営とマンション経営。
家賃収入が得られるのはもちろんのこと、私的年金として、節税対策、さらには生命保険として活用することもできるため、幅広い世代にとって多くのメリットがあることがおわかりになったのではないでしょうか。
誰でも始められるとはいえ、デメリットやリスクもあることから経営努力を惜しまない姿勢も求められます。
ローンの借り入れや返済方法にもさまざまな種類があるため、迷ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、選択肢が多いからこそ、自分の条件に合わせて返済計画を立てることができるとも言えます。
収支計画のバランスは、不動産経営の要です。
豊かな人生を送るための1つの手段として、不動産経営を加えてみてはいかがでしょうか。
(りびんまっちこらむへんしゅうぶ)
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