キャンプ場経営は今が旬?儲かる?利点と欠点、失敗しないための対策
アウトドアブームに乗り、キャンプ場経営に夢を抱く人が増えています。のんびりと自然に囲まれながら、収入源を得られるなんて魅力的です。しかし、キャンプ場運営には予想外の課題も潜んでいます。
本記事では、キャンプ場経営の最新トレンドと収益性を解説するとともに、起業を検討する際の利点と潜在的なリスク、失敗を回避するための対策などを紹介します。
夢のようなキャンプ場ライフに憧れる一方で、実際に経営するとなるとハードルは高そうです。本気で検討している方も、ちょっと興味があるという方も、ぜひ本記事でキャンプ場経営の実態に迫ってみてください。
もくじ
今が旬?キャンプの市場規模
「キャンプがなぜ今人気を集めているのか」市場が成長している理由やその背景にある要因について、掘り下げてみましょう。
さらに、消費者の関心が高まっている点や、市場の拡大が見込まれる理由など、統計データや専門家の意見を交えながら、キャンプ市場の現状と将来性について分析していきます。
キャンプ利用者で多数派を占めているのはヘビーユーザー
オートキャンプ白書2023によれば、日本における2022年のキャンプ人口は約650万人で、2021年に比べ約13%減少しています。
ところが、1年間の平均キャンプ回数は5.4回、泊数は7.2泊と過去最高を更新しています。つまり、キャンプ場は年に1、2度利用するかしないかといった、ライトユーザーではなく、年に複数回利用する「ヘビーユーザー」に支えられているといえます。
キャンプブームが終わったら、興味はなくなる?
アウトドアブランド PYKES PEAKが全国のキャンパーを対象に行った「キャンプブームに関する調査」(2023年実施)によると、キャンプの人気が市場のブームとして認識されている一方で、多くのキャンパーはブームの有無に関わらずキャンプ活動を継続する意向を示しています。
「ブーム終焉でキャンプをやめようと思いましたか?」という問いに対して、約99%のキャンパーが「全く思わない」または「あまり思わない」を選び、キャンプをやめる意向はほとんど見られませんでした。
この結果から、キャンプ愛好家にとっては単なる流行ではなく、持続可能な趣味やライフスタイルとして根付いていることが伺えます。
キャンプ場経営の種類は主に2つ!車の乗り入れ可否は?
車で直接キャンプサイトにアクセスできるのが、「オートキャンプ場」です。対して、車の乗り入れができないキャンプサイトを「非オートキャンプ場」といいます。
乗り入れ可能なのはオートキャンプ場
オートキャンプ場は、車でキャンプサイトまで直接アクセスできる施設です。設備が整っており、初心者や家族連れも利用しやすい環境が整えられています。
広々としたスペースが特徴で、自動車で直接テントの設置場所まで行けるため、重い荷物を持っての移動距離が少なく、不便さを感じにくいでしょう。
このタイプのキャンプ場経営に向いている人は、顧客サービスを重視し詳細にわたるサイト管理や設備の維持・更新に対応できる経営能力と資金力を持つ人です。
経営では、いかに家族連れやキャンプ初心者をターゲットにしたプロモーション活動ができるか、また利用者に対して魅力的なサービスやアクティビティを提供できるかが大切です。
不可能なのは非オートキャンプ場
車の乗り入れが不可能なキャンプ場は、野営地や特定の自然保護区内に設けられることが多く、より自然に近い形でのキャンプを楽しめます。
こうしたキャンプ場では、車を一カ所に停め、そこから徒歩や自転車でキャンプサイトまで移動します。そのため、よりアウトドアアクティビティを楽しみたい経験豊富なキャンパーや、自然体験を重視する人に適しています。
サイトによっては、火を使えないなどの制限がありますが、自然との一体感を求めるキャンパーには最適です。
このタイプのキャンプ場経営では、アクセスの制限による運搬・運送の課題を管理できる能力と、限られたリソースで最大限のサービスを提供する創造力が求められます。
経営するなら、どのテントサイトにする?
テントサイトは、キャンプ場内でテントを設置するための指定された区域です。これらのサイトは、設備や利用可能なスペースに応じていくつかの種類に分類されます。
成功の鍵は、ターゲットとするキャンパーのニーズに合わせて適切なテントサイトを選ぶことです。
区画(オート)サイト
区画サイト、特にオートサイトは車で直接アクセスし、車の横にテントを設営できるスペースが確保されている場所です。
これらのサイトは設備が整っており、家族連れや初心者キャンパーに特に人気があります。設備の利便性と安全性を重視する利用者に適しています。
フリーサイト
フリーサイトは、キャンプ場内で自由に場所を選んでテントを設営できる区域です。このタイプのサイトは、より自由度が高く、自然を間近に感じられるため、経験豊富なキャンパーに好まれます。
ドックフリーサイト
ドックフリーサイトは、ペット連れのキャンパーの利用に特化したサイトです。ペットと一緒にキャンプを楽しみたい家族や個人に適しており、ペット用の設備や安全対策が整っています。
グランピング
グランピングサイトは、高級感と快適さを提供するキャンプスタイルで、テントや小屋に豪華な設備とサービスが完備されています。
快適なベッドや専用バスルーム、調理設備が提供され、手ぶらで楽しめるため、アウトドア初心者や快適さを求める利用者に人気です。
コテージ、ロッジ、バンガロー
コテージ、ロッジ、バンガローはテントではなく建物を利用した宿泊施設です。天候に左右されず、より広い居住空間と設備が提供されるため、長期滞在や大人数のグループ、冬季キャンパーに適しています。
初心者がキャンプ場経営を始めるメリット
キャンプ場経営は、特にアウトドアが好きな人にとって、魅力的なビジネスオプションです。
初心者がキャンプ場経営を始めるには多くのメリットがあり、それらは個人の生活の質の向上や経済的な利益に直接的に寄与する可能性があります。
メリットは次のとおりです。
持続可能な収入源になる
オートキャンプ白書2023によると、全国のキャンプ場における平均稼働率は2022年時点で20.7%と、過去最高を記録しています。2003年時点の稼働率が12.1%だったことを考慮すると、確実に稼働率は上昇していることがわかります。
稼働率上昇の主な理由は、次のとおりです。
- ソロキャンパーが増えた
- 女性のソロキャンパーが増えた
- 平日に利用するソロキャンパーが増えた
季節に左右されない経営
富士山周辺のキャンプ場は、その自然の美しさとアクセスのよさから、一年中登山客や観光客でにぎわっています。
この地域のキャンプ場は特に春から秋にかけての登山シーズンに人気があり、連日予約で満員となることもあります。また、冬季には冬山登山やスノーシューハイク(雪上を歩く際に、シューズに装着するスノーシューを使ってのハイキング)を楽しむ訪問者でにぎわいます。
こうした季節ごとの特性を生かしたビジネスは、季節を問わない安定した収入源の確保につながっているでしょう。
地元資源の活用に貢献できる
キャンプ場経営者が地域コミュニティとの連携を強化することで、地元資源の活用と相互支援のネットワーク形成が可能になります。地元の農産物や製品をキャンプ場で活用することで、地域の農家や小規模事業者への直接的な経済支援になるのです。
この経済循環は地域経済の安定化に寄与し、地域住民との関係を強化します。
具体例として、岐阜県の「エコファームキャンプ場」では、地元で採れた新鮮な野菜や果物を使ったオーガニックメニューを提供しています。この取り組みにより、地元農家の売上が向上し、キャンプ場では高品質な食材の安定供給につながっています。
この相互依存の関係は、キャンプ場が地域に根ざした事業として長期にわたり成功を収めるための基盤となります。
ライフスタイルが向上する
自然環境に身を置くことで、心身の健康へ好影響を与える可能性があります。
ミシガン大学の准教授「マリーキャロル・ハンター博士」が行った研究結果によると、「自然を感じられる環境下で20~30分間過ごすことは、ストレスホルモンのコルチゾールを減少させるのに最も効果的である」と言及しています。
研究結果では、自然とふれあう時間を増やすことはストレスの軽減、精神の安定、身体活動の増加につながり、全体的な健康を向上させることが示されています。
また、地元のトレイル(未舗装路)を利用したウォーキングや、サイクリングを定期的に行うことで、体力の向上も期待できます。
成功を収めるには確かに市場調査や適切な場所の選定、マーケティング戦略が重要です。それに加えて、このような個人的な充実感が持続可能な経営への情熱を維持する鍵となります。
初心者がキャンプ場経営を始めるデメリット
初心者が直面するキャンプ場経営のデメリットは次のとおりです。
高い初期投資が必要
キャンプ場経営には、さまざまな費用が発生します。土地の購入やレンタルには多額の資金が必要ですが、それに加えて施設の建設、基盤設備の整備(電気、水道、排水システム)、そして適切な許可・ライセンスの取得にも費用がかかります。
さらに、キャンプ場を快適で魅力的にするための追加施設(シャワールーム、トイレ、キッチン設備、レクリエーションエリア)の設置にも考慮が必要です。
具体例として、日本のある新規キャンプ場プロジェクトでは、開設初年度に約5,000万円の投資が必要であったとされています。
このプロジェクトでは、自然景観を生かしたキャビン(小屋)の建設、環境に優しい設備の導入、さまざまなアクティビティ用の設備が含まれており、それぞれに高額な費用を投資しました。
このように、キャンプ場を魅力的なリゾート地として開発する場合、初期段階での資金調達が大きな課題です。
ノウハウ不足による信頼の喪失が売上低下を招く
あるキャンプ場では、オーナーが防災に関する十分な知識を持っておらず、大型台風の接近時に適切な避難指示ができず対策が遅れました。結果、顧客に不安を与え、その年の売上が減少しました。
また、温泉施設を併設しているキャンプ場では水質管理が不十分だったために、利用客からのクレームが発生し、健康被害が疑われる事態にまで発展しました。この事件は、専門的な知識や経験がないことによる直接的な結果であり、その後の法的責任と信頼失墜につながりました。
これらの問題は、運営のノウハウ不足が直接的にビジネスの成果に影響を及ぼすことを示しています。そのため、運営前の十分な知識習得、緊急時対応プランの準備が、キャンプ場経営の成功には不可欠です。
季節性による収益の変動リスク
日本のように四季がはっきりしている国では、冬季にキャンプ場の利用者が減少するのが一般的です。この収益の不安定さは、経営の持続可能性に大きな影響を及ぼします。
具体例として北海道のあるキャンプ場では、厳しい冬の条件下では運営が不可能になり、年間収益の大部分は夏季に依存しています。夏季の3カ月間で年間収益の約70%を稼ぎ出しており、残りの期間は収入がほとんどない状態です。
このような季節依存性は、キャッシュフローの管理やオフシーズンの経費削減が重要であり、計画的な予算管理とオフシーズンの創造的な収益化戦略が求められます。
経営に失敗しないための事前対策
キャンプ場経営を成功させるには、計画的な準備と適切な資金管理が必要です。
経営に失敗しないための事前対策は、次のとおりです。
開業費として約5,000万円を準備する
規模にもよりますが一般的なキャンプ場開業には、土地の購入やリース、施設の建設、設備の導入などに5,000万円程度かかります。
具体例として北海道の某キャンプ場では、初期設備投資に約4,800万円が費用として計上されました。これには簡易宿泊所やシャワー設備、レクリエーション用品が含まれています。
補助制度を利用できるか調べる
キャンプ場の開業や運営にかんして、国や地方公共団体(自治体)が提供する補助制度や助成制度を活用することは、初期投資の負担を軽減する手段です。これらの補助制度は、地域経済の活性化や観光振興を目的として設けられているため、具体的な条件や対象が定められています。
具体的な補助制度は次のとおりです。
- 事業再構築補助金(成長枠)(事業再構築に意欲がある者の支援)
- 地方創生推進交付金 (地方公共団体が地域の特性を生かした事業を支援するための交付金)
- 小規模事業者持続化補助金(小規模事業者が事業の持続可能性を高めるための設備投資や広告宣伝を支援)
- 観光地域づくり支援事業補助金(観光地域としての魅力向上を目指し、訪問者の増加を促す事業を支援)
これらの補助制度を適切に活用することで、キャンプ場経営のリスクを軽減し、成功に向けた強固なスタートを切ることにつながります。
内容に応じて資格や許可を取得する
キャンプ場経営を行うにあたっては、そのサービス内容に応じて必要とされる資格や許可が異なります。
キャンプ場経営には以下のような資格や許可が必要です。
- 食品衛生責任者(食事や食材を提供する場合)
- 酒類販売業免許(酒類を販売する場合)
- 林地開発許可(林地開発を行う場合)
- 旅館業許可(宿泊施設を提供する場合)
- 公衆浴場営業許可と温泉利用許可(入浴施設を設置する場合)
これらの資格や許可を適切に取得することで、合法的なキャンプ場経営が可能となり、顧客からの信頼も得やすくなります。
土地活用会社に相談する
キャンプ場の経営において、適切な土地選びは成功の重要な要素です。土地活用会社に相談することで、土地の価値を最大限に生かし、法的制約や環境保護の観点から最適な使用法を見極めることにつながります。
専門会社は、地域の土地利用計画や建築規制に精通しており、事業のニーズに合わせた土地選びを支援します。
具体例としてあるキャンプ場開業者は、土地活用会社との協力により、アクセスが便利で自然環境に恵まれた場所にキャンプ場を設立しました。
この地域では、地方公共団体が観光促進の一環として特定の土地利用を奨励しており、土地活用会社はその情報を活用して最適な土地を提案しました。
結果として開業初年度から高い集客率を達成し、成功を収めました。
また、土地活用会社は土地の購入だけでなく、賃貸やリースに関するアドバイスも提供します。これにより、初期投資を抑えつつ事業開始が可能です。
さらに、土地の有効活用に関する税務や財務のアドバイスも受けられ、経営の安定性を向上させます。
事業を計画している方は、土地活用会社に一括請求して土地活用プランを取り寄せることをおすすめします。
専門家からの具体的な提案を受けることで、事業計画の具体化とリスクの最小化が図れます。適切な土地活用計画により、キャンプ場経営の成功へとつながる道が開かれるでしょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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