マンション管理会社変更の流れ
分譲マンションの管理組合の理事や理事長になった時、現状の管理会社の変更を考えなければならないことがあるかもしれません。そうなったとき、どうやってことを進めどんなことに注意するべきなのでしょうか。西鉄不動産株式会社 関塚様にお伺致しました。
マンション管理会社の仕事内容について
―――― 基本的なお話ですが、マンション管理会社はどういった仕事をしているのでしょうか。
二種類あります。
- 管理組合の理事長、理事の方に代わってちょっとしたお手伝いをする。
管理組合の理事長さんや理事の皆さまであっても、勤めてらっしゃったりしますので、毎日管理組合の仕事をすることはできません。そこで管理会社が代わりに掲示物を掲示したり、お客様に電話したりなどのお手伝いをします。 - 専門的なアドバイスをする。
専門的な見地から、管理組合にアドバイスします。ときにはこういったことはマズイといったことも忠告します。
<マンション管理会社はキャビンアテンダントに近い!>
よく例え話で言うのですが、マンション管理会社はCAに似ていると思います。CAの仕事というのは搭乗のお手伝いや、お食事や飲み物を出すといったサービス要員のイメージがあります。しかし、本当は何かあった時の保安要員なんです。緊急な事態になったとき、専門家として対処しなければいけないという使命があります。
マンション管理会社も同様で、普段は掲示・連絡といったサービス的な仕事をしています。しかし何かあった時、例えば少し変わった居住者がいて、理事長さん組合員さんが困っている、そんな場合に適切にアドバイスして対処するのが管理会社本来の仕事だと思います。
マンション管理会社変更手続きの流れ
―――― マンションの管理会社を変更するときの流れを教えてください。
- 管理組合の中でコンセンサスをとる。
これは根本的に一番大事なことです。最低でも理事会の中でコンセンサスが得られているかが重要です。1人の方が自分の感覚だけで見積もりを依頼したりするのは非常によろしくありません。
管理組合は会社とは違います。社長がいて専務がいて・・・といった序列があるわけではなく、管理組合が100人いたら、100人が公平な権利を持っています。その中で1人の方が勝手に管理会社を変えるために動いたとしても、最後で変更の話を聞いていない方からの反対で、変更できなかったという例は結構あります。 - 管理会社に見積もりの依頼を出す。
管理会社に見積もりを依頼する場合、最低3社以上に依頼するのをおすすめします。依頼する管理会社探しは理事会以外の方も巻き込んだ方がスムーズです。リビンマッチのようなサービスを利用したり、ネットで調べてみるのも有効です。 - 共通の見積り+提案型の見積りをもらう。
複数社に見積もりを依頼する場合、注意するべき点が共通の仕様で見積りをもらうということです。金額の比較の際に、条件が同じものでなくては比較ができません。
それに加え、「御社はウチのマンションについてどう思われますか?」といった提案型の見積書をもらうことも良いでしょう。そこで管理会社ごとの「提案力」の差を見ることができ、会社選びのポイントにもなると思います。 - プレゼンテーション
見積りを全て比較したのち、各管理会社からプレゼンテーションをしてもらうと良いでしょう。できれば管理組合全員に対して公開でのプレゼンテーションです。 - 総会 新しい管理会社は総会で決めます。
<ご確認!管理会社の変さらにかかる期間>
現在の管理会社から新しい管理会社に代わる場合、実際に管理が始まるのは、最低でも新しい管理会社が決まった月を除いて3カ月ほど先からです。例えば4月に新しい管理会社に決まった場合、8月から管理開始といったかたちです。
これは管理費の引落し手続きにかなりの時間がかかるためです。そのため標準的に3カ月だと言われています。
全てをまとめてみると、
- 管理会社を変更しようと考えて、コンセンサスをとり、管理会社を決めるまでが約半年。
- 現管理会社から新管理会社に代わるのが最低3カ月。
計10カ月ぐらいはかかると考えておいた方がいいでしょう。長ければ3年ほどかかる場合もあります。
管理会社を変える際の注意点
―――― 管理会社を変える際に注意するべきことは何ですか?
上記にも述べましたが、管理組合の中でコンセンサスがとれているかどうかです。理事長一人が決定権を持っているわけではありません。最終的には総会の過半数で決議されます。そのなかで反対の方というのもいて良いんです。ただ、その反対の方にもどういった理由で管理会社が変わるのかということを理解して頂く必要はあります。管理会社を決定するまでのプロセスがキチンとしていないと、せっかく変更したのにうまくいかない例もありますから。
―――― なるほど。では管理会社はどういったポイントで選べばいいのでしょうか。
管理会社を選ぶ基準はいくつかあると思います。
- 管理戸数・・・どれくらいの数の管理組合とお付き合いがあるのかという点で、実績がどうかということが分かります。
- 管理会社のタイプ・・・地域に特化している企業なのか、全国的に展開している企業なのか。また、最近では少なくなりましたが独立系の管理会社。独立系とはデベロッパー系列ではない管理会社ですね。そういった管理会社のタイプ別でもよく比較されます。
- 財務状況・・・どんなに管理棟数・管理戸数が多くても財務状況を見て、例えば赤字がずっと続いているのであれば管理を任せるべきではありません。「マンション管理業協会」に加盟している会社であれば、サイトでその会社の資産状況・収入支出・営業利益・計上利益・管理組合数・管理戸数等が、載っているので、そういったところも参考にしてください。
- ネガティブ情報・・・国土交通省のサイトを見ると、過去に管理会社が何らかの問題があり、国土交通省から処分をされた記録が載っています。これは一般の方も見ることができ、例えば管理人がお金を使い込んで問題になった、というような情報が載っています。そういった管理会社はやめた方が良いですね。
こういった判断基準は、見積もりを依頼して最終的に会社を決めるときに、他の組合員の方を安心させるための材料として大切です。
―――― 管理会社を比較する際、管理費は安ければ安いほど良いと感じながら、一方で安いと管理の質が悪くなってしまうのではないかというイメージがあります。
一番安いから良い、逆に一番安いから危ないという判断はどちらも間違いです。安くてもしっかり管理をしてくれる企業はいらっしゃいます。ただ、今より高い管理費の会社には頼まない方が良いと思います。そういった意味でも、相場を知るために最低3社には見積りを貰った方が良いと思います。3社ともぴったりの数字が出てくることはまずありません。そこからなぜこの金額なのかということをしっかり質問してください。
―――― なるほど、あくまでも比較をしながら慎重に検討することが、良い管理会社を見つけるポイントなのですね。ありがとうございました。
企業名 | 西鉄不動産株式会社 |
---|---|
住所 | 福岡市中央区大手門2丁目1番10号 |
事業内容 |
|
氏名 | 関塚 裕幸 |
所属/役職 | マンション管理事業部 営業課 課長 |
資格 | 管理業務主任者、区分所有管理士 |
マンション管理業界歴 | 30年 |
(りびんまっちこらむへんしゅうぶ)
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