リースバックの仕組みとは?リバースモーゲージとの違いと併せて解説
老後の資金繰りについて調べてみると、まとまったお金が手に入るというリースバックについて目にすることがあると思います。
リースバックとは、自宅を売却して現金を手にした上で、賃貸として同じ物件に住み続けられるというサービスです。使い方によっては便利そうですが、どういった仕組みで成り立っているのでしょうか。
もくじ
リースバックの仕組みを図解
まずは、リースバックの全体像をご紹介します。
自宅を現金化しても住み続けられる「リースバック」
このような取引のことは、セール・アンド・リースバック(sale and lease back)とも呼ばれ、不動産だけでなく産業用機械、医療機器などにおいても用いられます。
不動産のリースバックについて、国土交通省の用語集で以下のように説明されています。
不動産流動化において、不動産の原所有者が、当該不動産を第三者に譲渡した後、または不動産を信託してその受益権を第三者に譲渡した後、譲受人から賃借し、継続して譲渡不動産を使用すること。
複雑に書かれていますが、要は自宅をリースバック業者や不動産会社、投資家などに売却し、その後、家賃を支払って生活を続けるということです。
イメージとしては「自宅を売って、借り戻す」という認識をしておくといいでしょう。
リースバック後に退去させられることは?
リースバックをしてしまったら、追い出されてしまうことがあるのではないかと心配な方もいるでしょう。
たしかに、民法の大原則に「売買は賃貸を破る」という言葉があり、物に対する権利は一般的には借りている人よりも持っている人の方が強い立場にあります。
しかし、民法605条、借地借家法10条、31条を根拠に、不動産賃貸借においては修正があり、「賃借人は不動産賃貸物の所有者に、不動産賃貸権を対抗できる」とされています。
つまり、もしリースバックした後に退去を迫られることがあっても、特別な事情さえなければ家を失うことにはならないということです。
メリットとデメリットは?
リースバックで家を売却、その後賃貸にすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、デメリットや注意しておくべき点はないのでしょうか。
メリットは?
リースバックには、以下のようなメリットがあります。
- まとまった現金が手に入る
- 売却後も、自宅にそのまま住み続けられる
- 引っ越し費用がかからない
- 売却したことが近隣に知られない
- 固定資産税など税金の負担がなくなる
いくつか補足をします。
まず、リースバックを行えば、売却代金としてまとまった現金を得られます。老後資金や交遊費など使いみちは多岐にわたりますが、手元に現金があることで得られるメリットは大きいでしょう。
また、売却後も住み慣れた場所に住み続けられることもメリットです。リースバックなら、老後に知らない土地に暮らすことへの不安や、近所付き合いを気にする必要がありません。
さらに、売却すれば固定資産税など維持にかかる費用の支払いがなくなります。家の維持費は意外と負担になりがちなので、これも大きなメリットでしょう。
デメリットや注意点は?
一方で、リースバックには以下のようなデメリットがあります。
- 賃料が発生する
- 相場と比べて売却額が低い傾向にある
- 相場と比べて家賃が高い傾向にある
- 買い戻すときの金額は売却額よりも高い傾向にある
こちらもいくつか補足をします。
リースバックでは、賃貸として毎月一定の支出があることがデメリットであるといえます。とはいえ、先にまとまったお金を手にしている分、計画的に支払うことができれば問題にはならないでしょう。
あくまで傾向ですが、リースバックでは売却するときの金額は安くなりやすく、家賃は相場よりも高くなりやすく、そして買い戻すときの金額は高くなりやすいです。
これらは、不動産会社や投資家、リースバック業者が負うリスクの分であると考えることもできます。
おすすめの活用法
リースバックはどんな人におすすめなのでしょうか。具体的な活用法をご紹介します。
どんな人におすすめ?
リースバックは次のような人におすすめです。
- 今すぐまとまった現金が欲しい人
- 相続問題を解決したい人
- 住宅の維持費を抑えたい人
- 老後資金を確保したい人
今すぐにまとまった資金が欲しい人
リースバックは今住んでいる場所を確保しながら、売却によるまとまった資金が手に入ります。そのため、今すぐにまとまった資金が欲しい人おすすめです。
まとまった資金を手に入れて、賃貸で同じ場所に住み続け、余裕ができたら再度買い戻すことも可能です。
相続問題を解決したい人
相続のときに不動産よりも現金の方が分割しやすく、現金化することで相続税の支払い資金にすることもできるため、相続問題を解決したい人にもリースバックはおすすめです。
住宅の維持費を抑えたい人
リースバックは、あくまでも不動産を売却するため、所有者ではなくなります。そのため、固定資産税がかかりません。また、所有者に請求される管理費や修繕積立金も原則不要です。
ただし、購入する不動産会社や投資家も、管理費や修繕積立金を費用として支払う以上、それを踏まえて賃料を設定するので、賃料は相場よりも高い傾向があります
老後資金を確保したい人
リースバックは資金調達をして、住宅ローンの返済や老後資金に充てることもできます。
住宅ローンの支払いや老後にかかる費用など、将来に不安を抱えている方は、リースバックで不安を取り除くことを検討してもいいでしょう。
リースバックとリバースモーゲージの違い
自宅を現金化して住み続けるという点で、リースバックと似ている、リバースモーゲージというサービスがあります。ここではリバースモーゲージの仕組みとリースバックとの違いを解説します。
リバースモーゲージはどんな仕組み?
リバースモーゲージとは、所有している不動産を担保に、金融機関から一括または毎月、資金融資を受けられるというサービスです。
リースバックとリバースモーゲージの違い
リースバックとリバースモーゲージの大きな違いは借入の有無と所有権移転にあります。
リースバックは不動産を売却してその後賃借に切り替えるため、借入がなく、所有権が買主に移転します。
一方、リバースモーゲージでは不動産を担保にして金融機関から融資を受けるため、借入があり、所有権は移転しません。
リースバック | リバースモーゲージ | |
---|---|---|
仕組み | 不動産を売却し、売却した相手と賃貸借契約を交わし居住を続ける | 不動産を担保に借り入れ、満期もしくは死亡時に返済 |
所有権移転 | あり | なし |
借り入れ | なし | あり |
担保 | なし | あり |
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